Labyrinth of Sawada Mansion #1

The Sawada Mansion is self building apartment by an amateur in Kochi, Japan.

「設計図は私の頭の中にある。」
かつて一人の素人が自分の手で作った巨大な建物が四国にある。

その壮大な砦は高知駅から北東におよそ2㎞、高知市街地の外れにあった。
その砦の壁はもとは白であったものが長い年月によって薄汚れているように見えた。

砦の横は細く薄暗い道だ。
ここからは砦内部には入れそうにない。

砦の裏側のようす。

砦の入り口に、ほこりまみれの棚がある。
棚の下段には、だいだい色の薬草のようなものが載っており、中段に置かれた箱には”100円”と書かれている。

その棚の右上部にはカメラのようなものが取り付けられている。
棚の横に貼られた古びたステッカーにはこう書かれていた。
”防犯カメラ作動中”

カメラから出ている黒色の配線をたどってみると穴を通って上部へと突き抜けており、そこで配線は途切れていた。

ついに砦の入り口らしきところを発見した。
踏み入ると予想とは違い、中はやわらかな光で満ちていた。

「よし!これより砦の内部に潜入することとする!」

入り口のわきには今はもう使われていないように見える黒く巨大な発動機がある。

その発動機の上の札にはこう書かれていた。
”沢田マンション建設のきっかけになった発動機”
どうやらこのマンションのいわれが書いてあるようだ。

柱に貼られている紙をいくつか読んでみると、こう書かれている。
”沢田マンション空き室情報”
”宿泊も可能です。”
”4F35号 12帖広~い 洋14帖KBT 冷暖付 ¥45,000‐”
”4F27号 12帖 6帖和 8帖洋 冷暖付 ¥45,000‐”

”沢マン見学の心得”
”プライバシーに配慮しましょう!”
”撮影禁止×”
”朝10時~夕5時まで”
”撮影は大家さんの許可をとってから”
”あいさつをしましょう”
”のぞき見イヤン!”
”沢マンツアーご希望の方は…”

読み取れるその伝言には、ここを探索する冒険者に対する警告が書かれている。

発動機がいくつも置かれている。

大小の発動機がまるで飾られているかのように並べられていた。

地下へと降りる階段がある。
地下入り口の看板には”多目的ホール”と書かれている。

地下へと向かうスロープと上階へと向かうスロープがある。

「今回は上階の探索を優先することとする。」

斜めに長いパイプが針金で吊られている。
雨どいだろうか。
縦どいというか斜めどいだな。

スロープを登りきったところには良心市があった。
まるで店番のように狸の置物がおいてある。

その建物の向こう側へと抜ける暗い通路はほこりにまみれていた。
中は通路の入り口と出口の両側からの光に照らされており、あたりには自転車やバイク、プロパンガスのボンベのようなものが置かれている。
天井を這うむきだしの配管はおそらくガス管だろう。

「建物の裏側へ出るぞ。」

おおっと!通路の床が網になっている。

*あみのうえにいる*
その通路の床はおそらく鉄製の網でできていて両側には洗濯機にエアコンの室外機、物干し台などがある。
どうやら人が歩ける程度の強度はあるようだ。
網の下には下階の通路が見えていて、灰色の軽自動車が停まっているようすがわかる。

なだらかなスロープを登り上階へ進んでゆく。
すると赤色のクレーンのようなものが見えてきた。

ふと横を見るとパイプが電線ケーブルで結われている。

給湯器が二つ、壁に設置されている。
ガス配管、水道配管、コンセントケーブルが給湯器の下部から出ているが、それぞれの配管の仕方は素人工事にしても無茶苦茶だ。
いったい何がどうしたらこういうことになるのだろうか。
よくガスの供給をしてもらえているな。

開けたところに出た。
資材の搬入用だろうか。屋上に巨大なクレーンが設置されているのが見える。

池の横を通り進んでゆく。
しかしいったいなぜこんなところに池があるのか。
建物の構造がよくわからないがスロープを2回上がったので、少なくともここは3階以上であるはずだ。

やがて屋敷のようなものが目の前に現れた。

後半へつづく

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